電力業界のシステム
電力業界は、発電部門・送配電部門・小売部門の三部門で構成されています。
電力各社・各発電事業者が水力、火力、原子力、太陽光、風力、地熱などの発電所を運営し、電気を作る部門です。
日本の電力供給は、送電線・配電線などの送配電ネットワークを管理し、一般送配電事業者が電力供給のバランスや末端需要家までの電力のお届けを責任をもって行っています。
各小売電気事業者は、送配電網の利用料金として「託送料金」を一般送配電事業者に支払い、発電所からお客さまへ電気を送り届けてもらっています。
現在、日本全土は10供給区域に分割されており、供給区域ごとに1社の一般送配電事業者が存在しています。
北海道電力ネットワーク株式会社、東北電力ネットワーク株式会社、東京電力パワーグリッド株式会社、中部電力パワーグリッド株式会社、北陸電力送配電株式会社、関西電力送配電株式会社、中国電力ネットワーク株式会社、四国電力送配電株式会社、九州電力送配電株式会社、沖縄電力株式会社を指しますが、仮に電力販売会社である新電力がつぶれたとしても電力の安定供給には何の変更もありません。
ただ単に電力代金の支払先が変わるだけの話なのです。
小売部門は、電力を需要家(各家庭や工場や商店など)にお届けする部門です。
電力各社は、消費者(各ご家庭を含む)と直接やりとりをし、料金メニューの設定や、契約手続などのサービス、料金収納を行います。また、需要家が必要とするだけの電力を、JEPX(日本卸電力取引所)や相対取引で調達するのも、この部門の役割です。
そもそも日本の電力生産の電源構成は以下のようになっています。 石炭31%、石油3.7%、天然ガス34.6%、原子力6.8%、水力7.6%、太陽光・風力10.9%その他5.5% (2021年現在) 且つ各電源の発電単価は通常以下のとおりとされております。 石炭火力12.5円/kwh、LNG火力10.7円/kwh、原子力11.5円/kwh、石油火力26.7円/kwh、陸上風力19.8円/kwh、洋上風力30.3円/kwh、太陽光(事業用)17.7円/kwh (2021年現在) 上記の電力単価は例えば産油国の動向、戦争など地域紛争、発電所の整備修理、電力の需給動向などによって大きな影響を受けます。 今後の電力料金の動向などは、慎重なコンサルティングが必要な状態となっています。
1.送配電部門の法的分離
送配電ネットワークの管理は安定供給を担うため、電力自由化後も引き続き、政府が許可した大手電力会社(東京電力等)が担当してきました。
しかしながら、電力自由化で健全な競争を行うためには、大手電力会社だけでなく、新規事業者も公平に送配電網を利用できる必要があります。
そこで、独立性・中立性を確保するために、送配電部門が大手電力会社から分離され、一般送配電事業者として独立しました。
2.需給バランスを担う役割
電力の需給バランスは「同時同量」でなければならないという点です。「同時同量」とはつまり、電気をつくる量(供給)と電気の消費量(需要)が、同じ時に同じ量になっているということ。これらの量が常に一致していないと、電気の品質(周波数)が乱れてしまい、電気の供給を正常におこなうことができなくなってしまいます。その結果、安全装置の発動によって発電所が停止してしまい、場合によっては予測不能な大規模停電をまねく可能性があります。
3.最終保障供給
最終保障供給とは、高圧または特別高圧で電気の供給を受けるお客さまが、万一いずれの小売電気事業者からも電気の供給を受けることができない場合、お客さまを 保護する観点から、次の小売電気事業者との契約が開始されるまでの間の電力供給を、一般送配電事業者(東北電力ネットワーク・東京電力パワーグリッドなど)が担保するものです。
日本の電気のうち家庭で使われるのは30%。 残り70%は産業(工場など)と業務(オフィスビルなど)で使用されています。
なかでも電気をたくさん必要とする製造業は、産業部門の約8割を占めています。